令和7年11月14日(金曜日)、おおつ市民環境塾講座8「今なお発電続ける蹴上発電所見学会」を開催しました。
琵琶湖から京都へ続く疏水の先にある、関西電力株式会社蹴上発電所と琵琶湖疏水記念館を見学しました。
お天気も良くてさほど寒くもなく、いい見学びよりとなりました。終わったら京都の町をてくてくと観光するのもいいですね!
正門に集合し、早速職員さんの案内で施設内に向かいます。現在、稼働しているのは第3期蹴上発電所なんですって。後ほどチラシにも登場した赤茶色のレンガが印象的な第2期蹴上発電所の方にも向かいます。
配電盤室を抜け……ワクワクしながら向かった先は……
座学でしたー!(笑)
改めて、職員さんからのご挨拶と蹴上発電所の歩みについて教えていただきました。
明治11年、東京の工部大学校(現東京大学)で初めてアーク灯が灯って以来、政府の殖産興業政策に呼応するように、自家発電による電気の使用が始まりました。
明治23年1月に着工され、明治24年5月に運転を開始しました。その後、順次発電設備が増強され、明治30年5月に第1期工事が完成しました。
明治24年5月の運転開始時には、120馬力のペルトン水車2基と80kWの直流発電機2基で始まりましたが、第1期工事完成時には20基の水車と19基の発電機が据え付けられ、出力は1,760kWとなったそうです。
第2期蹴上発電所では、横軸フランシス水車5台、発電機5台、出力は4,800kWになり、各所に変電所が設置され、供給エリアが拡大されました。
その後、電気の需要はどんどん高まり、現第3期蹴上発電所では縦軸フランシス水車が2台、発電機2台となり、出力は5,700kWもの電気を作れるようになりました。
現在は、水道の使用量が年々増加したこともあり、出力を5,700kWから4,500kW(実際はさらに出力を抑えられているようです)に変更されているようです。※1号機は休止中のようです。
平成28年には、「蹴上発電所」が、世界的な電気・電子技術組織のIEEEにより、「IEEEマイルストーン」に認定されました。日本初の事業用水力発電所であり、作られた電気が、京都の町や工業、電気鉄道にも使われたことで、京都ひいては日本の産業の近代化に貢献したことに対し、評価されたとのことでした。
琵琶湖疏水から得られる水の有効活用を目的に建設された蹴上発電所は、1891年に運転を開始、2025年現在で134年の年月を経て、今なお発電続ける現役の水力発電所として、京都の町を灯し続けています。
蹴上発電所すぐそばの琵琶湖疏水記念館では、第1期蹴上発電所で使われていたペルトン式水車やスタンレー式発電機が展示されています。
それでは、発電の様子を見学します!
安全ヘルメットを着用し、足元に注意をしながら、職員さんが案内してくださいます。
現在の第3期蹴上発電所は基本的には無人で運用されており、別所から遠隔操作を行い、異常などがないかを確認されています。
降りてきました。これが現在の縦軸フランシス水車です! 大きい!
回転する軸の様子も動画で撮らせてもらえました。
※※※非常に大きい音が流れますので音量に注意してください!※※※
発電機と共に、257rpm(毎分257回転)で回っていて、西日本の周波数60Hzに調整されているとのことです。
では、第3期蹴上発電所を後にして……第2期蹴上発電所へ向かいます。
外に出たら大きな水道管がありました。この水圧鉄管から疏水の水が流れ込み、あの大きな水車を回しているんですねー。
イチョウの葉が綺麗に色付いて、とても気持ちの良い日になりました。
赤いレンガの第2期蹴上発電所です。美しいイギリス積みの赤レンガ壁に「功天亮(てんこうをたすく)」の文字。
“水力エネルギーという自然の恵みを、人々の暮らしに生かすことこそ、天の意志に叶うものである。”
との関西電力株式会社の思いが込められているそうです。
残念ながら第2期蹴上発電所内には入ることはできませんでしたが、外観からも雰囲気が伝わってきます。先ほどイギリス積みの赤レンガ壁と言いましたが、実は目地である白い部分にも技術が込められていて、通常、目地が引っ込んでいたりするのですが、こちらは目地が盛り上がっていて、より耐久性の高い壁に仕上げてあるとのことでした。
いいものを作りたいとの想いが細部にも宿っているのですね。
正面から回り込んで上の方を見上げてみましょう。不思議な穴がたくさん開いてますね?
これは実は、発電所内から送電線を引き出す穴だそうで、当時はここから電気が送られていました。
職員さんが振り返り、みんなで空を見上げています。想いを馳せて……ではなく、実はその先
これ!(見えない)
実はみんなで「風見鶏」を見ているんです。いえ、正しくは「風見鶏に記された星(六芒星をくりぬいたような星形の紋章)」を見ていました。視力の良い参加者さんは、「星が見える!」と仰っていて、視力の差をまざまざと見せつけられてしまいました……。見えないけど(笑)。
なぜ六芒星のような形をした紋章かというと、「水」という文字から考えられた……など、いろいろ他にも由来があるとのことです。この紋章は、京都市内の水道管の蓋などにも記されており、探してみるのも楽しいかもしれませんね。
施設内をぐるりと回って、こちら。
※※※非常に大きい音が流れますので音量に注意してください!※※※
第3期蹴上発電所の水車を回した水が出てきているところです。また、疏水へ戻っていくんですねー。
こちらは、先ほど評された「IEEEマイルストーン」の記念碑です。近くに南天の実がなっていました。これからも事故なく安全に、電気を作っていってほしいですね。
これで、「蹴上発電所見学会」は終了です。関西電力株式会社の職員さん、お忙しいところを本講座のために、わかりやすくユーモアたっぷりに、難しいこともやさしい言葉で説明いただき本当にありがとうございました!
それでは、蹴上発電所にあとに……続いて琵琶湖疏水記念館です。
とはいっても、こちらは自由見学となります。蹴上発電所への見学は気軽に……とはいきませんが、琵琶湖疏水記念館は自由に見学できます。上で紹介した、第1期蹴上発電所の水車と発電機も展示されていますので、良かったら実際に行ってみてくださいね!
大きな巻上機ですねー。すぐそばにある蹴上インクラインの台車のワイヤーを巻き上げていたそうですよ。
P.S.
マンホールカードもGETしました👍






















