平成30年12月9日(日)、「地域発の再エネ拡大戦略に学ぶ」講座を実施しました。
講師には、地域で再エネ拡大に取り組んでおられる「福井県の太陽光発電普及協議会」を主宰しておられる吉川守秋氏と滋賀県湖南市の地域電力会社であるウルトラパワー株式会社の代表取締役である芦刈義孝氏をお招きし、地域でのエネルギーの地産地消を目指した再エネ拡大の取り組みについて実践例を中心にお話をうかがいました。
太陽光発電のメンテナンス・蓄電池との相性・そして将来: 講師 吉川守秋氏
- 福井のような雪が多い地域でも年間発電量は発電能力1kWhあたり1,040kWh/年あり、充分採算ラインにのる。ちなみに滋賀県は1,080kWhである。
- 市民共同発電所も進めている。
- 今後は家庭での自家消費型を勧めたい(FITの買取価格より自家消費の方が価格が高くなってきているので有利である)
- そのためには蓄電池も必要だが価格は相当下ってきており、近未来的には利用が可能と考えています。
- 自身の自宅には20年前に太陽光発電を設置しているが、それほど能力も落ちず、今後も10年は持ちそうでまだまだ燃料費ゼロの電気として活用できる。
- そのため、メンテには気を付けており、普及協議会で互助方式のメンテナンス支援組織も立ち上げた。
など実際に設置してからの有効活用をはかる活動をしておられるのが良くわかりました。
地域電力としての再エネ拡大と2019年FIT期限切れ対応について:講師 芦刈義孝氏
- 自治体と地元企業の共同出資で新電力会社を立ち上げた。
- 地域資金循環の拡大の視点でエネルギー資金を地域外へ出さないを目指している。
- 再エネの地元での拡大に取り組んでいる。ツールは市民共同発電所や地元企業の再エネ投資の積極的な支援、家庭への導入支援とFIT期限切れ電力の積極的な購入や地域創成の活動にも取り組み雇用の創出などにも関わっていきたい。
- 省エネも資金を外へ出さないという観点で重要なので、環境省の助成を受けて診断事業も手掛けている。
- 熱供給も電力ではないがエネルギー会社として積極的に取り組みたい。
- まずは木質バイオマスの活用やコジェネによる熱供給事業に取り組む。
- また、農業者に対し再エネ省エネ支援をして、強い農業を目指したい。
- 産官連携による再エネ導入では新エネルギー財団の平成29年度新エネ大賞を受賞
など地域の特性を生かした活動を積極的に実行され感銘を受けた。
話題提供「太陽熱の利用による温水器の活用」 山和孝氏(おおつ環境フォーラム)
- 家庭でのガスや灯油エネルギーには代替できる再生エネルギーが少ない。
- わずかに薪ストーブやペレットストーブが身近な再生エネルギーと認識されるが、住宅密集地ではご近所付き合いの関係で使いにくい場合もある。
- その点太陽熱温水器は狭い屋根スペース(3,4㎡)を利用して設置でき、ガスや灯油の給湯器との相性も良い。
- 夏季は全く追い炊きせずにお湯が使えるし、冬季になっても追い焚きをすることで少しはガスや灯油の消費量を減らすことができ環境価値は高いです。年間を通じてのガス、石油の消費量を約40%減らせます。ガス、灯油の消費量を減らす方法が少ない中、数少ない打ち手の一つです。
家庭での二酸化炭素排出量40%削減、エネルギーの地産地消、地域資金循環など多様な視点で再エネが論じられました。